動物病院に来院されるオスの成猫で、去勢を行っていない成猫はおそらく1%もいないのではないかと思われます。
病気の予防という観点では、メス猫の避妊に比べ圧倒的にその意義は低いのは事実としてあるにせよ、去勢をせずに家の中で飼育しようとすると、快適に「同居」することができないからです。
もちろん、中には去勢をせずに飼われている飼い主様もいらっしゃいますが、その理由としては
- 自然なままでいたいから
- ブリーディングをしたいから
- 発情が起こらないのでなんとなく
という理由がほとんどです。
いずれにしても、かなり覚悟をしておかないと、去勢をしないオス猫と一緒に暮らすのは、かなり大変だと思います。
では、実際にオス猫で去勢をせず飼育すると何に困るのでしょうか?
マーキングをする
別名スプレー行動とも言い、お尻を高い位置にあげ、おしっこを噴射するように壁やベッド、ソファーなどに吹きつけるように排尿します。
自分の縄張りを誇張するために行うオス猫特有の本能行動と言われています。
普段のトイレでせずに、ありとあらゆるとことでマーキングを行うため、家の中の清掃をまめに行う羽目になります。
たいてい、「できるだけ早めに去勢手術をうけたい」という飼い主様からの問い合わせがあった場合、その理由はマーキングが始まったというものが多いと思います。
臭いがきつい尿がでる
オス猫の尿は、メス猫よりも独特の匂いがします。
これも、オス猫が自分の居場所や存在を、メス猫にアピールするためと言われていますが、特に去勢をしていないと、この臭いのもとになる成分がとても多くなることが判明しています。
その臭いの強いおしっこで、先ほど述べたマーキングを行うので、家の中は大変な状況になります。
なんとも表現しにくい臭いなのですが、たとえるならばアンモニア臭をとても甘くした感じです。
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発情の度に雄たけびを上げる
大体の方が想像してらっしゃる通り、発情の時期が来ると、雄たけび?、叫び?、訴え?、とにかく大声をあげて一晩中鳴くようになります。
だいたい3日ぐらいの周期で繰り返すことが多く、やっと終わったと思ったら、また始まる・・・この繰り返しになります。
この雄たけびの中で、ぐっすりと安眠できる方はそうはいないと思います。
性能の良い耳栓もしくはヘッドフォンが必要でしょう。
毛質が脂っぽくなる
もともと、猫の被毛はほかの動物に比べると油脂を豊富に含んでいます。
特にオス猫の尾の根元には、皮脂腺が集中してあり、オス猫特有の独特な臭いが発生します。
自分の縄張りを誇張するかのように、床やテーブルや椅子の柱に尾をこすりつけていきますので、部屋中に臭いが移ります。
慣れれば何とかなるかもしれませんが、掃除してもとれない匂いなので、来客があった際などは少し気を使うことになるかもしれません。
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まとめ
飼い主様にとって、去勢をしないことで起こる困った問題の代表格は以上のことだと思います。
その他にも、年齢をかさねてくると、両頬の皮膚の下に脂肪がたまりはじめ、特徴的な丸顔(どら顔)になったり、全身の皮膚が厚くなったりというような見た目の変化があります。
これくらいのことなら我慢できるというのであれば去勢を無理にすることはないとは思いますが、個人的にはあの発情期の悶々とした表情はちょっとかわいそうな気がします・・・。
何事にもリスクとベネフィットがありますから、よく検討していただきたいと思います。
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