高齢の未去勢のオス犬がなりやすい腫瘍。精巣腫瘍について。

精巣腫瘍とは、オス犬の精巣にできる腫瘍で、高齢の犬には割と頻繁に発生します。

猫ではほとんど見られません。

大体は何かのついでに発見されることが多く、去勢をしていない高齢犬の診察ではとりあえず睾丸を触るようしています。

精巣に何らかの異常を発見し、動物病院で精巣腫瘍だと判明した時点で、かなりの高齢であることが多く、また、ほとんどの場合良性のため、しばしば手術対象外になるケースも多くあります。

精巣腫瘍は、精巣を構成するいくつかの細胞から発生する腫瘍の総称ですが、その由来となる細胞によって、出てくる症状が異なります。

今回は、精巣腫瘍についてご説明いたします

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セルトリ細胞腫

セルトリ細胞とは、精巣の中で精子に栄養を与える細胞で、セルトリ細胞腫はその腫瘍です。

通常、腫瘍が発生した精巣は腫大します。

以前診させていただいた犬(柴犬)は、腫瘍が大きく成り、ソフトボール大まで腫れあがっていました。

そこまで大きくなると、日常生活にもさすがに支障があったので、高齢ながらも手術を行いました。

セルトリ細胞腫

また、この腫瘍はホルモン異常を引き起こすことが知られていています。

エストロジェンというメス化させるホルモンが異常に分泌されるため、乳房が腫れたり、包皮が弛んできたりと、外見上の異常を引き起こすほか、かゆみの伴わない左右対称性の脱毛を引き起こしたり、貧血などの症状をおこしたりと様々な症状を引き起こします。

基本的には、停留睾丸の犬に多く発生しますので、特に停留睾丸がある犬は、去勢手術を若いうちに行うことをお勧めします。

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精上皮腫(セミノーマ)

精上皮腫は精子のもとになる細胞の腫瘍です。

最初のうちはほとんど気づかずにいるのですが、ほかの精巣腫瘍と異なり、発熱、疼痛などの具体的な症状が出てくるケースもあり、精巣腫瘍の中では少し厄介な腫瘍です。

また悪性だった場合、周りのリンパ節に転移することがたまにあるので、注意が必要です。

経験上、ほかの精巣腫瘍に比べると、犬自体の一般状態を低下させることがあるため、高齢でも積極的に手術を行うこともあります。

一度、18歳の超高齢犬の手術を行ったこともあります。

実施にはとても悩みましたが、転移を起こしていなかったので、術後の経過は良好でした。麻酔はひやひやでしたが・・・。

ひやひや

間質細胞腫(ライディッヒ細胞腫)

オスのオスたるべきホルモンを分泌する細胞の腫瘍です。

正直、健康診断で来たときに見落としてしまうことがあるくらい、あまり兆候のない腫瘍です。

精巣は他の精巣腫瘍と異なり小さくなっていることが多く、気を付けて診察しないとわかりません。

臨床上も全くないので、発見してもそのまま様子を見ていただくことがほとんどです。

まとめ

これら3つの腫瘍が、犬の精巣腫瘍のほとんどで、発生する確率はどの精巣腫瘍もほとんど変わりません。

これらの精巣腫瘍は、当然去勢をすることが予防になりますので、高齢になってから煩わしい思いをするのであれば・・・早めに去勢手術を検討された方が、いいと思います。