通常、オス猫の発情行動はだいたい生後半年ぐらいたった春先か夏の終わりごろに起こります。
ただ、たまに時期がずれることがあり、月齢が4か月もしくは5か月なのにもかかわらず、発情が来てしまうような早熟な仔猫もいます。
オス猫の発情は、飼い主様の睡眠を妨げることも多く、発情を迎えた猫を飼ってらっしゃるご家庭では、切実な問題になります。
獣医師からの意見として、基本的には生後6か月を待つことなく去勢することは可能です。
ただ、早熟な猫を手術する場合に、獣医師が気を使うポイントがいくつかあるので、今回はそれを皆さまにご説明しようと思います。
睾丸が2個ちゃんと陰嚢内にあるかどうか?
陰嚢は肛門と陰茎のすぐ下にあります。
触るとコロッとした飴玉大の精巣が2個触れます。
通常は生まれてすぐに睾丸は所定の場所にあるのですが、たまに内股やお腹の中にある猫もいます。
基本的に手術は睾丸がどの位置にあっても可能ですが、傷口が大きくなったり、場合によっては開腹しないといけない場合もあるので、その時期にそこまでやるか、もう少し発情を我慢するか、飼い主様との相談になります。
実際の話、普通の去勢手術よりも費用はかかります。
おそらく、1万から3万円は多く見積もっておいたほうがいいと思います。
麻酔の代謝は問題ないかどうか?
医療的に若齢の個体には全身麻酔はあまり勧められません。
健康状態が問題ないような猫でも、麻酔の代謝が弱かったり、術前術後の絶食の時間が長くなったせいで低血糖を起こすリスクがあるからです。
もちろん、そういった不具合が発生する確率はかなり低いものなのですが、しっかりと成長が終わった成猫よりは確率が高くなることは否めないため、手術を実施する際はそういったリスクを低減させる処置を施した方がいいと思います。
術後の泌尿器系の成長には影響が出ないかどうか?
早期の去勢手術の弊害として、泌尿器系、特に尿道、陰茎が細く小さくなる傾向があると言われています。
実際にそうなるかどうかは、はっきり言ってわかりません。
なぜなら、成猫で去勢した猫と比較した科学的なデータがないからです。
ですので、この点については「?」マークがつくのですが、たいていの獣医師はそのリスクを心配することが多いと思います。
尿道や陰茎がせまくなると、尿結石などが発生した場合、尿道閉塞を引き起こしやすいからです。
まとめ
医療的なことも含めて、世の中のすべてのことにはリスクとベネフィットがあります。
自分自身、早熟なオス猫に対し去勢手術を施したあとに、特別に若齢だからということで不具合がでた経験はありません。
もしろん、何万回も実施すれば何かしら出てくるとは思うので、確率だけの問題であり、「0」ではないとは考えています。
ですが、発情を起こしたオス猫が飼い主様に与えるインパクトの大きさはよく知っているので、私自身は、もし予想よりも大分と早く発情が来てしまった場合は、去勢を早めに行ったほうがいいのでは?と思っています。