犬が去勢の時期。まだ乳歯が残っているのって大丈夫?

犬の去勢は生後6か月程度から行うことができます。まだ成長中ではあるものの、この頃には体つきも随分としっかりしてきますよね。

しかし、これまでに自分の犬の口の中をしっかり見たことはありますでしょうか?

今、お口の中にある歯は乳歯ですか?それとも永久歯ですか?

獣医師は去勢手術の前に、お口の中をチェックする事が多いのですが、今回はその理由をご紹介します。

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犬の歯の数

犬の歯

犬の歯は乳歯と永久歯で本数が異なります。

正常な永久歯は、左右片側ずつ、上あごに「前歯3本、犬歯1本、前臼歯4本、後臼歯2本」、下あごに「前歯3本、犬歯1本、前臼歯4本、後臼歯3本」。合計で42本と、人よりも本数の多い歯が生えています。

チワワなどの小型犬や、パグなどの短頭種ではこれより歯が少ない(欠歯)こともあります。

ちなみに、乳歯と永久歯の見分けは、獣医師でもじっくりみないとわからないこともあるのですが、乳歯は永久歯と比べると全体的に少し細く鋭い形をしています。

犬の歯の生え変わり

犬の乳歯は、おおよそ生後3週間から生え始め、生後2ヶ月になると大抵生えそろいます。

その乳歯も、4~5か月齢からは永久歯に生え変わり始めるのですが、この生え変わりのスピードは犬により異なります。

体の成長と同じく、グングンと早い犬もいれば、のんびりマイペースな犬もいます。

抜け落ちた乳歯は飲んでしまう事が多く、なかなか生え変わりには気がつかないかもしれません。

去勢手術はちょうどこの時期に行うことが多いので、獣医師は順調に永久歯に生え変わりができているのか確認しているのです。

生え変わりの異常

永久歯が生えてきているにも関わらず、乳歯が抜け落ちずに残ってしまう場合があります。

これを「乳歯遺残」といいます。

永久歯は乳歯を避けるように伸び、永久歯と乳歯が並んで生えるような形になります。

特に小型犬の犬歯では乳歯遺残が起きやすいです。

乳歯遺残は、残った乳歯の周囲に歯石が付着しやすかったり、残った乳歯が折れてしまう、噛み合わせが悪くなる、などの不具合の原因になることもあります。

しかし、乳歯を抜くには全身麻酔の必要がありますので、「乳歯を抜くだけで麻酔はかけたくない」と、そのままにされがちでもあります。

去勢手術と乳歯

歯をみせた子犬

多くの犬が7か月くらいまでに永久歯が生えそろいます。そのため、去勢手術を考え始める頃にはまだ乳歯が数本残っている場合があります。

今後順調に生え変わりが進めば問題ないのですが、乳歯遺残となりこれからずっと乳歯が残る可能性もあります。

なので、去勢手術時に乳歯が残っている場合、去勢手術の麻酔と一緒に乳歯を抜いてしまうのは一つの方法です。

そのままになりがちな乳歯遺残を同じ麻酔で治療・予防できるのは大きなメリットです。

個人的な感覚としては、「永久歯がすべて生えそろっているにも関わらず、小型犬の犬歯が抜けていない場合」には、まず考えてあげた方が良いでしょう。

また、永久歯が生えそろっていない、乳歯がまだたくさん残っている、というような場合は、成長がのんびりペースの犬だと思いますので、少し去勢手術を遅らせるのも悪くはありません。

まとめ

去勢手術の時に残っている乳歯が、今後きちんと抜けるかどうかは不安なところ。

最初で最後になるかもしれない全身麻酔ですので、一緒にお口の健康維持もできると良いかもしれません。

去勢手術の前には獣医師とお口の相談もしてみてくださいね。