動物病院によってここが違う! 猫の避妊手術の方法(2)

飼い主様にとって避妊手術の実際の方法を質問することは、気が引けるもの。

今回も獣医師へ術前に確認しておきたい4つポイントを引き続きご説明します。

前編はこちら

動物病院によってここが違う! 猫の避妊手術の方法(1)
はじめは小さかった仔猫でも、だいたい生後6か月を迎えるあたりには子供から大人の体になります。 このころには、ほとんどの飼い主様が避妊手...
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血管を縫合する縫合糸はどんなものを使用するのか?

避妊手術の相談を受けるときに、色々なご質問を頂きますが、縫合糸に関しては専門的な知識が必要であるため、飼い主様から質問をいただくことはほとんどありません。

ですが、結構重要なポイントになります。

まず先にご説明させて頂くと、子宮と2個の卵巣が、それぞれ血管とじん帯とで体に固定されています。

手術は、卵巣側の2か所、子宮側の1か所の動脈、静脈とじん帯を一緒に切除し摘出します。

もちろん、動脈を切除するのですから、そのままにしておけば、激しく出血してしまいますので、血管とじん帯をまとめて結紮(けっさつ:血管をしばって血行をとめること)してから切除するわけです。

その結紮の際に使用される縫合糸には吸収糸と非吸収糸の2種類があります。

吸収糸は強固な結紮をするのには不向きですが、約1か月で分解吸収される為、体の中には残りません。

非吸収糸は強固な結紮が可能ですが、その名の通り溶けずに体の中に残ってしまいます。

15年ほど前から、体の中に残る縫合糸に生体が過敏な反応を起こし、原因不明の膿瘍や巨大な肉芽と言われるしこりの様なものが発生するという報告が多数あります。

最近はよほどのことがない限り、体の中に残す縫合糸は吸収糸を使用することが多くなってきました。

だだ、より強固な結紮を必要する場合には非吸収糸を使用することもありますので、事前に確認をしておいたほうがいいでしょう。

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また、最近では、結紮せずに血管を切除することができるシーリングという手術器具もあります。

吸収糸でも反応するケースもあるため、より生体反応を抑えるのであれば、この手術器具は必須となりますが、高価なもののため、病院によって設備が整っていない病院もあります。

腹膜と皮膚を縫合する際に使用する縫合糸の種類

子宮と卵巣を切除し摘出した後、もちろんそれで終わりというわけにはいきません。

文字通り閉腹といって開いた腹膜、いわいる腹筋と皮膚をそれぞれ縫い合わせないといけません。

ここでも使用する縫合糸の種類が病院によって異なります。

非吸収糸を使用される先生もいますし、吸収糸を必ず使用する先生もいます。また少数派ではありますが、極細のワイヤーを使用する先生もいます。

先ほどお話した通り、どの縫合糸にもメリット、デメリットがあるため、病院によって、獣医師よって、もしくは状況によっても使い分けられます。

必ずしも縫合糸により、生体反応が起こるのかといえば、決してそういうわけではありませんが、場合によっては無菌性結節性脂肪織炎という免疫応答を引き起こすため、縫合糸の選択はやはり重要です。

実際に手術を執刀する獣医師にご質問していただければ、詳しくご説明していただけると思います。

まとめ

避妊手術は動物病院の中でもっとも行われている手術だと思います。

その影響か、ほかの手術に比べると、獣医師の説明もなんとなく簡略化してしまうのも現実としてあります。

だからこそ、飼い主様側からも積極的に手術についての質問ができるような環境が整えられれば理想的なのではないでしょうか。

今回の記事が、ちょっとでもそういった状況に貢献ができればうれしく思います。