オス猫を飼ううえでは、誰しもが考える去勢手術。
理由は一つだけ。去勢していないオス猫と暮らすのはとても難しいからです。
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生後半年ぐらいたって、いざ動物病院に行って手術を予約しようと思ったら「できません」と言われた・・・こんな飼い主様のご相談をたまに受けることがあります。
もちろん去勢手術が可能かどうかは、各獣医師の裁量にかかってはいますが、実際に何を理由にして、獣医師は手術ができないと言うことがあるのでしょうか?
今回は獣医師目線から、去勢手術のような簡単な手術でも、できれば避けたいと思う時の具体例を紹介します。
検査上明らかな疾患が見つかった時
これは一目瞭然の理由だと思います。
手術で使用する麻酔は、去勢のような簡単な手術も、非常に高度な技術を必要とする難手術も同じ麻酔を使用しますので、麻酔のリスクという点においてはどの手術も等しく同じです。
麻酔のリスクとはすなわち生死のリスクです。
したがって、術前に行った検査において、明らかな異常があった場合は、手術を躊躇するケースもあります。
停留睾丸だった時
停留睾丸とは、本来陰嚢の中にあるべき睾丸が、鼠径(足のつけ根)もしくは腹腔内にある場合を言います。
一種の発育遅延ではあるのですが、たまに少し待っていると、通常の睾丸がある場所まで移動してくることもあります。
したがって、生後6か月ぐらいだったとしても、まだ発情が来てないようで、かつまだちょっと体格的にも早いかな?と感じた時には手術を先に伸ばすことは、良い判断だと思います。
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もちろん停留睾丸でも手術はできます。
ただ、自分の意見なのですが、猫の停留睾丸は犬と違い鼠径部にあることが多く、また猫の下腹部は脂肪が非常に多くあるので、睾丸を検索するのが非常に困難な場合が稀にあります。
一度どうしても見つからなかったので、CT検査まで実施したこともあります。
待っていれば正常な位置に戻る可能性があるのであれば、手術を延期してもいいと思います。
明らかな行動異常があった時
特に検査上では異常は見つからないのでが、自宅で同じ方向にくるくる回っていることが多いとか、食事をとった後にぼーっとしていることが多いとか、普通の猫とは少し違った行動をとる猫の場合、脳内や肝臓に隠れた疾患があるケースがあります。
こういった疾患は通常に行うような術前検査ではわからないケースも多く、飼い主様自身も気づいていないことも多くあります。
こういった猫に麻酔が与える影響は非常に強く、命を取ることまではないけれども、手術後に何らかの麻酔による後遺症を残すことがたまにあります。
もし自宅であれ?っと思った行動をするようであれば、獣医師に正確に伝えた方がいいと思います。
なぜなら猫は病院の中では自分の病気を隠してしまうので、病院の中で獣医師がそういった疾患の可能性に気づくことは非常に稀だからです。
何となく…経験則から感じた時
え?っと思うかもしれませんが、臨床の現場においては、ビビッとくるひらめきに幾つもの命が助かった例もあります。
そんなことはまさか・・・とは思わずに、一度獣医師の指示に従ったほうがいいと思います。
まとめ
もちろんどんな状況においても100%不可能であるということはありません。
去勢手術を行わないオス猫の大変さもよく理解はしています。
ただ去勢手術とは言えども手術は手術です。
少なからずリスクがあるのであれば、その際には獣医師とよく相談をされた方がいいと思います。