メス猫の避妊手術後に、病院から内服薬を処方されることがあると思います。
「このお薬を1週間ほど飲ませてください。」などと言われて持って帰るものの、
「さて、薬ってどうやって飲ませるんだろう?うちの子に薬なんて飲ませたことないしなあ。」となることでしょう。
今回は、こういった場合の投薬のコツをお話ししようと思います。
薬は何の目的で飲ませるのか?
動物病院でメス猫の避妊手術後に内服薬が処方される場合、日数や形状、内容もすべてにおいて動物病院ごとに異なります。
場合によっては内服薬がそもそも全く出ない場合もあるでしょうし、内服薬が出ない代わりに注射薬で済ませる場合もあります。
内服薬を処方する動物病院の主な目的は、術後の感染を防ぐための予防処置です。
感染を防ぐためには抗生剤を使い、傷が化膿した、などということを未然に防ぐようにしているのです。
実際、抗生剤の使用に関する基準についてはさまざまな議論がありますが、現状での術後管理は抗生剤を使った感染防止が一般的になっています。
投薬のコツ(錠剤編)
では、実際の投薬方法についてお話ししていきましょう。
まずは錠剤。場合によってはカプセルになっているものもあるかもしれません。
粒状のお薬はご飯に混ぜても簡単には飲んでくれません。ドライフードに紛れ込ませて・・、などはもってのほかできっと薬だけ残っていることでしょう。
そこで、錠剤をしっかり飲ませるには思い切りよく直接口の奥に突っ込むことがポイントになります。
口の奥に突っ込むなんて、嫌がるし咬まれちゃうかも・・。
まあそのとおりでしょう。だからコツがあるのです。
右利きの人の場合、
- 左手で猫の頭を包み込むように手を置きます。そして、親指と人差し指を猫の上顎に当てます。
- 左手で猫の頭をつかんだまま、猫の顔をゆっくりと天井に向けます。(こうすることで若干下顎が緩み、口がやや半開きになります)
- 右手の親指と人差し指で薬をつまみます。
- 右手の中指で下顎をゆっくり開きます。
- 下顎を開いたタイミングで、つまんでいた薬を喉の奥に入れ込み右手の人差し指でさらに押し込みます。
- 押し込んだら、顔を天井に向けたまま右手で顎を閉じ、喉をさすります。
- 猫が舌をペロリとなめる仕草を見せたら、飲み込んだ証!
いかがでしたか?
お互いにストレスにならないように、無理はしないでいただきたいのですが、おとなしく触らせる猫であればきっと上手くいくと思います。
投薬のコツ(散剤編)
散剤とはいわゆる粉薬です。粉薬は直接飲ませることはなかなか難しいことなので、基本的にはご飯に混ぜます。
ここでのコツは、飲ませ方というよりはどうやったらバレずに薬を飲んでくれるかを工夫することです。
その1。
- まず、ご飯は出来るだけ缶詰などのウエットタイプのものを選びます。
- 1のご飯を半分ほど入れてから、その上に粉薬を乗せます。
- 粉薬の上に再びご飯を乗せて薬を挟んで隠します。
- 薬入りご飯はこのまま混ぜずにおきます。
このようにして出来るだけ匂いや味を目立たなくさせて、気付く前に食べさせてしまうことが大切です。
その2。もしもご飯をすぐに食べてくれない場合、
- 薬を混ぜた缶詰ご飯を人差し指に乗せて猫の上顎になすりつけます。
- 上顎になすりつける方法は、上記の錠剤の飲ませ方に準じます。左手の人差し指に薬入りご飯を乗せて口を開けた拍子に上顎になすりつけるのです。
これも意外と上手くいくと思いますよ。
投薬のコツ(シロップ編)
シロップの場合はスポイトや空の注射器を使って口の中に入れる方法がとられます。
頭を抑えたりする必要は錠剤や散剤に比べて無く、口も大きく開く必要はありません。
コツとしては、
- 頭を振らないようにだけ気をつけて軽く顔を支えながら、スポイトの先を上下の歯の隙間に差し込みます。
- スポイトから薬をゆっくり流し込みます。早く入れるとむせてしまうことがあるので気をつけて下さい。
シロップといえども薬の味が一番伝わりますから、万が一ヨダレや泡を吹くようなことがみられたら中止したほうがいいと思います。獣医さんに再度相談してみてください。
まとめ
いろいろなやり方とコツがあることをお分かりいただければ幸いです。
ある程度は頑張って、でも猫が大暴れしたり咬んできたりと攻撃的になる場合は投薬を中断されたほうがいいと思いますので、無理しないでくださいね。