太っていると麻酔のリスクがあがる!?【メス犬の避妊手術】

現代の犬の飼育環境では犬用のフードの多様化や飼い主さんが犬を人間の子供のように接したいという意識の影響で人間の食べ物を多少でも与えてしまうことがあり、人間と同様に「犬の肥満」が問題になっています。

動物病院に来院される犬の8割くらいの飼い主さんがが「太っている」ことを気にしており、ダイエットを意識している方が多い印象です。

そんな皆さんが気にしている「肥満」が手術する際に大きな問題になる事があるという事をご存知でしょうか?

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肥満が呼吸を悪化させる

外科手術は全身麻酔で行い、その場合基本的に眠らせてしまうので犬自身の力で呼吸することはできなくなるので、人工呼吸器をつけて呼吸を助けて手術を行います。

人工呼吸器を使用するなら、太っていても呼吸は問題ないと思う方もいると思いますが、

違うんです。

肥満の犬は通常の体格の仔よりも、首回り、胸にも脂肪が多くのっています。

その影響で、首の気管に負担になったり、胸の肺が膨らむのを邪魔したりしてしまうのです。

そうなると、人工呼吸に必要な気管チューブの挿入が難しくなったり、肺をしっかりと膨らませるために機器の細やかな微調整が必要だったりと、多くの問題が生じやすくなるのです。

また、鼻先が短い犬種・短頭種のパグ、フレブルなどに多い先天性の病気「軟口蓋過長症(なんこうがいかちょうしょう)」の場合、肥満も加わるとさらに呼吸状態の悪化を招きます。

軟口蓋過長症とは、のどの奥の上顎の部分が通常よりも長い病気です。この病気を持っている仔は、麻酔中よりも麻酔後の覚醒が危険な場合があります。麻酔からさめ始めた頃にのどから気管チューブを引き抜くのですが、正常なのどの形の犬よりも、この時に長い上あごの部分がのどの空気の通り道を塞いでしまい呼吸困難に陥る可能性があるのです。

そのような病気を持っていてさらに肥満傾向であれば、リスクは高まります。

肥満があると血圧が上がりやすい

太っている犬は、血圧が上がりやすく、心拍数も上がりやすい傾向があります。

その原因は、太っていると身体の脂肪が血管を圧迫してしまい圧がかかり血圧があがると言われ、体が大きい分それぞれの組織に必要な酸素量が増加して心臓から送りだす血液を増やすために心拍が増えると言われています。

そして、手術中に使用する麻酔薬は血圧を下げてしまう副作用がある薬もあるため、肥満の犬の際は、思わぬところで急激に血圧が下がったりするため、慎重な薬剤投与や管理が必要になります。

肥満の目安は?

そもそも肥満はどのような体格を言うのか?という疑問を耳にします。

犬種によっても適正体重がありますが、犬種の中でも体格に個体差があり、適正多重も異なってきます。

では、肥満の目安にしているものは、「腰のくびれ」「肋骨の触り具合」でしょう。

明らかに肥満の犬は、肋骨を触ろうとしても触れず、腰もくびれがなく寸胴な場合が多いです。

まとめ

肥満は麻酔の手術のリスク要因ではあるので、できればダイエットを行って適正体重に近づけてから手術にのぞんだ方いいでしょう。